野菜類には、活性酸素・フリーラジカルの生成やその作用を抑制する機能性成分として、抗酸化ビタミンであるアスコルビン酸以外に、各種のポリフェノールが存在していることが示されており、疾病を予防する上で野菜類の十分な摂取が推奨されている。本研究では、野菜類に含まれる種々のポリフェノールに対するポリフェノールオキシダーゼの作用と、それに伴うラジカル捕捉活性の変化を明らかにするとともに、酵素の加熱失活がラジカル捕捉活性に及ぼす影響について解明することを目的として研究を遂行中である。本年度は花菜(ブロッコリー)、葉菜(レタス)、根菜(ゴボウ)について、これらのポリフェノールオキシダーゼ活性とラジカル捕捉活性との関係を解析した。 これらの野菜について、条件を均一にするため、凍結乾燥粉末を調製し、これらの水溶液を試料とした。モデル調理(加熱)前後の試料について、ラジカル捕捉活性、総ポリフェノール含量、クロロゲン酸量、アスコルビン酸量を測定するとともに、ポリフェノールオキシダーゼ活性およびアスコルビン酸オキシダーゼ活性を測定した。 その結果、レタスとゴボウではポリフェノールオキシダーゼの活性が高く、1分問の加熱により総ポリフェノール含量およびクロロゲン酸量が著しく減少した。また、これと並行してラジカル捕捉活性も減少した。これに対し、ブロッコリーではポリフェノールオキシダーゼの活性が低く、1分間の加熱では総ポリフェノール量はほどんど変化しなかった。しかし、アスコルビン酸オキシダーゼ活性が高かったため、アスコルビン酸含量が減少することによるラジカル捕捉活性の低下がみられた。 次年度は、さらに多くの野菜について、ポリフェノールオキシダーゼ活性および個々のポリフェノールの変化を解析する予定である。
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