本研究では、野菜類に含まれる種々のポリフェノールに対するポリフェノールオキシダーゼの作用と、それに伴うラジカル捕捉活性の変化を明らかにすることを目的として研究を遂行した。本年度は、花菜(ブロッコリー)、葉菜(レタス)、ニンジン(根菜)、ナス(果菜)、ピーマン(果菜)を用いて、ポリフェノールオキシダーゼと総ポリフェノール量および個々のポリフェノールとの関係を中心に研究を行った。 まず、総ポリフェノール量を測定したところ、ブロッコリー>ナス>レタス>ピーマン>ニンジンの順に高かった。ポリフェノールオキシダーゼ活性はナスとレタスで高かったが、ブロッコリーとニンジンにはみられず、総ポリフェノール量との間に相関はみられなかった。個々のポリフェノール分析を行ったところ、クロロゲン酸、カフェ酸、ケンフェロールなどが検出された。そこで、個々のポリフェノールに対するポリフェノールオキシダーゼの反応性を10種類のポリフェノールを用いて調べた。クロロゲン酸の反応性を100として、各ポリフェノールの反応性を相対活性で表した結果、ケルセチンはクロロゲン酸と同等の相対活性を示し、ポリフェノールオキシダーゼに対する反応性が高く最も良い基質になることがわかった。また、カフェ酸、ケンフェロール、ルテオリンは相対活性30〜50を示し、比較的反応性が高かった。さらに、ルテンオリン配糖体、イソケルシトリン、ルチン、ケンフェロール配糖体は相対活性6〜18を示したが、p-クマル酸には反応性がみられなかった。配糖体はアグリコンより反応性の低いことがわかった。以上のことから、野菜のポリフェノールオキシダーゼ活性だけでなく、含まれるポリフェノールの種類により、野菜を調理・加工した際のラジカル捕捉活性への影響に違いがみられることが示唆された。
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