研究概要 |
平成13年度は自然発症糖尿病ラット(OLETF)を用いて各種食餌脂質の違いが肝臓脂肪酸合成関連タンパク質の発現への影響の検討を行った。実験群としては飼料に(1)OLETFコントロール(市販試料)(2)OLETF-ラード(市販粉末試料にラード添加)(3)OLEIF-EPA油(市販粉末試料にEP A rich oil添加:EPA28%)(4)OLETF-AA油(市販粉末試料にArachidonic acid rich oil添加:AA25%)にて飼育し、摘出した肝臓より抽出したRNAを用いて肝臓脂肪酸合成系酵素、血清リポタンパク質ならびに脂肪酸輸送系タンパク質のmRNAの発現状態をRT-PCRもしくはノーザンブロッティング法にて検討した。経口糖負荷試験では油脂添加群間で差は見られなかった。acethyl coA carboxylase, Microsomal transfer protein, CD36, Apo-B, SRBIの肝臓内での発現量はOLETFとLETO(非糖尿病群)間では明らかな差は認められず、また油脂添加群間でも差は認められなかった。一方、UCP(uncoupling protein)の発現はUCP2においてOLETFコントロール群はLETO群よりも低い傾向にあったものの、アラキドン酸添加群においてはコントロール群に比較して約2倍程度上昇していた。肝臓内脂肪の分布を脂肪染色にて組織的に比較したところ、コントロール群に比し、ラード群では脂肪肝の像が認めれられ、EPA群ではラード群に比べて顕著に脂肪滴の分布が少なく、一方アラキドン酸油投与群においては肝組織全体に小脂肪滴の散在が認められた。肝臓合成系酵素や輸送タンパク質のRNAレベルでの発現においては変化が認められず、むしろミトコンドリアエネルギー産生にかかわる酸化的リン酸化の脱共役をつかさどるUCPの発現量に変化が認められた。しかしながらでのこれらの結果と肝臓組織中の脂肪蓄積との関連についてはタンパク質レベルあるいは酵素活性での検討など今後更なる検討が必要と考えられた。
|