コラーゲン分子は三重らせん部位とテロペプタイド部位からなり、規則正しく会合している。キウイフルーツなどの植物に含まれるシステインプロテアーゼの食肉軟化作用については、筋原繊維蛋白質に対する報告は多いが、硬さの決定要因である結合組織蛋白質コラーゲンに対する報告は少ない。今年度は、牛すね肉から抽出しpH3.0〜7.0に調整した酸可溶性コラーゲン(ASC)、ペプシン可溶性コラーゲン(PSC)、不溶性コラーゲン(ISC)を基質として、キウイルーツ果汁・ショウガ搾汁を作用させ、その電気泳動パターンからコラーゲンへの作用を解明することを目的とした。三重らせん部位のみのPSCの場合、いずれのpHでも「未変性PSC」を分解せず、50℃以上で熱処理を行った「変性PSC」を分解した。すなわち、ゼラチン化したコラーゲンを分解するゼラチナーゼ活性を示すが、未変性コラーゲンを分解せずコラゲナーゼ活性を示さなかった。テロペプタイド部位と三重らせん部位からなるASCの場合は、いずれのpHでも「変性ASC」を分解し、「未変性ASC」では酸性条件下において重合物、および、β鎖からα鎖への分解が認められ、テロペプタイド部位に作用することが明らかとなった。これは、コラーゲン分子が酸性溶液中では会合せず構造が緩むためと考えられる。さらに、ISCでは、いずれのpHでも「変性ISC」には作用したが、強固な構造の「未変性ISC」には作用しなかった。以上、本年度はキウイフルーツ果汁、ショウガ搾汁の結合組織蛋白質コラーゲンへの作用が、1.コラーゲン分子が分散する酸性条件下でのテロペプタイド部位に対する作用であること、2.コラーゲンが変性したゼラチンに対するゼラチナーゼ活性であることを明らかとした。現在、における各段階での植物プロテアーゼのコラーゲンへの作用の解明とその物理的性質との関連について検討中である。
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