研究概要 |
附属中学校において、平成13年9月から11月にかけて、18時間にわたる数学的モデリング・応用に焦点を当てたカリキュラム実践を行った。カリキュラム目標としては、「数学的モデリングを促進する見方・考え方を育成すること」,「数学が実世界のどのような点で有用であるのかを理解すること」の2点を設定した。1回につき2時間扱いで、1〜9回目までの授業概要は、以下の通りである。1回目は、事前テストのあと、数学は役立つかどうかについてグループで討論し各自でまとめた。2回目は、鏡を題材にして、条件・仮定を設定して考えることの意味について考えた。3回目は、グラフ電卓の使い方・活用の仕方について指導した。4〜7回目までは、生徒たちの討論を中心に授業を行った。4回目は「単利・複利」5回目は「財産が2倍になる年数」6回目は「じゃんけんで勝負がつく確率」7回目は「最も合理的な缶詰の形」を取り扱った。モデリングを促進する見方・考え方・モデルをつくるねらいが多様になるように題材の選択を考えた。8回目は、「自転車の反射板」「駐車場の車間距離」「テニスのサーブ」の3つの課題を紹介し、各班ごとに興味に応じて選択して解決した。9回目は、事後テストの後、数学はどのような場面で有効に用いられているかについて班で討論し、各自の考えをまとめた。主な知見として、モデリングを促進する見方・考え方に関しては、班の中で友達の考えを活かしまとめようとする鍵となる生徒の存在が、討論を活性化していく上で重要な役割を果たすことがわかった。また、数学の有用性に関する認識は、(1)なんとなく数学が有用だと感じている段階(2)具体的な題材についてどのように役立っているかを記述できる段階、(3)取り扱った題材を範例とみなし、一般的に数学がどのような点で有用であるのかを述べられる段階、等の諸段階に及ぶことがわかった。
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