日米の科学博物館の自然史標本データーベースの整備状況を調査した結果、各館とも標本に関するデーターベースの作成、公開を積極的に進めているが、検索項目が専門用語による、分類体系の把握が必要など一定以上の知識を要求するものが大半であった。各データーベースは学習資源として、潜在的価値が高く、情報の価値、扱い方を併せて紹介することで、一般に対するデーターベースの理解を深めることが可能である。 公開されている自然史標本データーベースの内容と学校のカリキュラムの関連の検討を行った結果、直接関連づけた活用は難しく、その活用は「総合的な学習の時間」で情報と関連させた活用が適当である。 本研究の調査に加え、文部科学省学芸員等在外派遣研修生として、アメリカの博物館の運営の実際を学ぶ機会を得て、日米の自然史標本データーベースの制作者と開発趣旨及び構成、実物に比して省略された情報、製作方法について意見交換、調査を行った。その結果、データーベースの基礎となる標本の管理について、常に専門家の研究、閲覧を受け入れ、その成果を反映させ、更新することで、最新の知見を加えるとともに信頼性を高めていることが判明した。このことはデーターベースの性質と意義を紹介することで、博物館の研究、標本に対する考え方を発展的に紹介することが可能となることを示唆している。 上記の調査結果をふまえ、自然史標本データーベースの学校での利用を想定した学習プログラムを開発し、教材の収集とセット化、指導展開例の準備を行った。
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