本研究課題では、問題解決型の言語活動である英語タスクをデータベースとしてまとめ、学習者に教室という枠組みを超えて、英語の総合的運用能力を向上させることに加えて、習熟レベル、学習目標、ニーズなど学習者の多様性に対応した英語学習を支援する学習環境を提供することを目指した。学習状況管理ソフトウェアを導入することによって学習者自身が学習過程を振り返り、習得内容および進捗程度を把握・理解することで、長期的な学習過程の自己診断ができるように設定した。リーディング、リスニング、語彙、文法などタスクを遂行するために必要とされる技能や、個人・グループなど言語活動スタイル等の範疇に分類しデータベース化した。このような学習環境を構築することによって、学習者に多種多様で豊富な言語材料を多元的なイメージを用いて繰り返し、かつ効率的に提供することができるようにプログラムを開発した。 日本人大学生210名に対して1年間実施した結果、学習者は各自の習熟レベルの程度や興味に応じて主体的に取捨選択し、学習内容の再確認を行いながら言語活動に取り組むことができた。また、学習状況履歴の記録によって、学習経過を自覚することが容易となったため、次回の学習が促され、自律学習に不可欠な継続性を高めることができることがわかった。さらに、教師にとっては、個々の学習者の学習記録をもとに学習者一人一人に応じたきめ細かなサポートを行うことが可能であることがわかった。
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