研究概要 |
本研究の目的は「異種教育情報を統合した教育情報データベースの構築」および「教育データからのデータマイングとその共有・可視化手法の開発」である.本研究では上記の目的を遂行するために,Digital Portfolio (DP)管理システムを構築し,その過程で必要となる技術・理論を開発・実装し,DPの新しい構成・共有・可視化手法を検証する.本研究で開発するDP管理システムは,個人学習環境の提供,異種情報の統合機能,DP情報可視化機能,グループ構成最適化機能の各機能を有する.本システムの開発段階で想定される研究目的の技術的な下位課題としては以下のようなものが考えられる.本研究ではDP管理システムの構築を通して,DPの表現・共有・可視化の手法を発見科学的アプローチにより展開する. (1)異種情報の統合管理のための理論(データのカプセル化手法,統一的記述手法)の開発 (2)教育データに依存したデータマイニング手法の開発(既存のデータマイニング手法の拡張) (3)グループ組織化モデルの記述と,グループ構成支援機構の開発 (4)DP管理システムにおけるAwareness情報としてのマイニング情報の可視化手法の開発 (5)DP管理システムの開発と評価 (6)グループ構成による効果の評価に基づくグループ組織化モデルの最適化手法の開発 平成13年度は上記の(1)〜(4)に関する研究を重点的に推進した.(1)に関しては,各種ツールによる学習履歴から表現可能な学習者に関する情報(理解状態,学習形態,知識深度,選好状態など)とそれらの表現手法の整理,統一的記述のためのカプセル化手法の開発を行った.(2)に関しては,教育データに対応した(例えば,独立性の仮定できない属性群,順序尺度など)データマイニング手法の開発を行った.(3)に関しては,グループ組織化モデルは(グループ形態,グループマンバ,構成メンバの役割,期待される効果)によって記述されると定義し,様々なグループ学習に関する先行研究をオントロジーアプローチによって整理し,グループ構成のためのルールベースとして記述手法を提案した.(4)に関しては,Awareness情報に関する先行研究を整理し,様々な学習形態に適応的な可視化手法を検討した.
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