教育をコミュニケーションによる情報伝達ととらえた場合、学習環境の拡張や変化により、従来の教育方法だけでは解決できない問題が発生する。新しい学習環境においてもより効果的な、かつ効率的なコミュニケーションを成立させるためのシステムを開発中である。 そのために、まず学習環境に関する理論を整理し、研究の枠組みとしてブロンフェンブレンナーの「生態学的学習環境モデル」を採用した。このモデルは、異なるレベルのシステムから直接的、間接的に影響を受け、相互に作用する子どもたちとその学習環境を示したものである。次に、学習環境と発達する子どもたちを示すこのモデルを実装するために、大阪府S市立中学校をフィールドとし、共同で進路学習の実践を行い、記録を分析した。 また、今後の学習環境では動画像によるコミュニケーションが重要視されると考えられる。よって、実際に映像による刺激が脳内でどのように反応し、学習に結び付いているかについても分析を進めている。 従来「教えることによって学ぶ」「作ることによってわかる」と言われてきたように、「相手に伝わるように伝えること」はスキルとして重要視されてきた。しかし、本研究は、スキルとしてだけではなく、受信者にメッセージが的確に伝わることを再優先とし、情報の形式にも手を加えるものである。 来年度は、効率的なコミュニケーションのための事例収集とともに、効果的なコミュニケーションのために、受信者が必要であると思っているメッセージを具体化し、情報発信側に伝えるフィルタを開発し、最終的には実際に遠隔教育を行い、システムを評価する予定である。
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