本年度では、WWW上で利用可能な手書き数式入力インタフェースの基本設計を行い、機能設計、構造設計そして実際のコーディングを行い、プロトタイプシステムを実現した。システムはサーバ&クライアントモデルに基づいており、ユーザとのインタフェースはJava言語で記述され、WWWブラウザ上で動作する。クライアントでは、手書き入力の受付、文字の自動切り出し、サーバの認識結果の表示、機能ボタンによる誤認職修正機能を実現した。サーバには、C言語で記述された文字認識エンジンが、クライアントに電子ペンを用いて入力されたストロークを、文字や記号として認識する。認識はDDCPM(Directional and Direction-Change Pattern Matching)法に基づいている。認識結果はクライアントに送信され、クライアントでは手書きストロークが消去され、その場所にフォントで表示される。また、さらに、オンライン手書き入力データの収集、解析を行い、手書き文字認識のベースとなるオンラインデータベースを作成し、オンライン手書き認識のための認識辞書を作成し、その性能評価を行った。これとは別に、オンライン手書き文字認識の結果得られた文字列を文字の大きさと位置関係から数式の局所的解析を行い、同列の文字であるのか、それとも添字、あるいは冪であるのかを認識し、その結果をDCG(Definite Clause Grammar)を用いて解析し、数式全体としての構造認識を実現するメカニズムを検討し、実際に数式の構造認識を行うモジュールの設計を行った。
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