研究概要 |
社会科での統計資料の活用を目的としたソフトウェアとデータベースの開発のため、学習素材として取り扱う統計資料に必要とされる要件について検討を行った。 インターネットを学習場面で活用する場合の利点として,(1)児童が集めた情報の発信や共有が容易であり,(2)リアルタイムで更新される統計情報が刑用可能である,という点を挙げることができる。しかし,この2点は,従来利用していた静的な統計資料を扱う学習に適用する場合,逆に,データとして扱う素材に制約を与えることになる。つまり,この場合,データベースが扱うデータは,(1)児童の身近で調べることが可能で,かつ,統計的な処理が可能なデータであり,(2)複数の学校で共有し学習の対象として意味がある素材,という2つの条件を満たす必要がある。 これらの条件を前提に、次の3点について明らかにした。 1つは,現在インターネット上で提供されている多数の公的な統計資料やデータベースを小学校社会科の学習場面で活用するための基準を提案したことである。本研究の結果として,統計資料を活用するために必要な要件が明示され,利用できる資料やデータの選別に指針を与えた。 また,児童の統計情報学習用に特化したデータベースを開発することで,公的な統計資料やデータベースを扱うための能力育成に利用できることを示唆した。 さらに,先行研究において,農水省の農産物市況のデータと学習ソフトウェアを組み合わせることにより,児童が農産物市況のデータを利用することを可能としたが,学習ソフトウェアのインタフェースを限定することで、学習段階に応じた統計情報の活用が可能であることに言及した。
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