本プロジェクトの目的は、聴覚障害者が講義・演習等の場面で双方向コミュニケーションを行う際の問題点を明らかにし、聴覚障害者にとっての効果的な双方向コミュニケーション支援システム及び利用方法を提案することにある。 今年度は、健聴者が講演者(講師)で聴覚障害者が聴衆(受講者)の講義場面、聴覚障害者が講演者(発表者)で聴覚障害者が聴衆の演習場面において、提示物と講演者の位置関係、受講者にとっての手話、口形の見易さについてアンケート調査を行った。提示装置としては次の装置を用いた。 ●マルチメディアボード(40インチ、手書き入力可能なプラズマディスプレイ) ●マルチメディア・プロジェクター(100インチ、コンピュータを接続) 〓マウスによる操作 〓タッチ式モニタによる操作 この結果、次のことがわかった。 ●提示物と講師の位置関係として、提示内容と手話を同時に読み取れるには、マルチメディアボードが適当である。しかし現状では、座席位置によって見易さが異なるという問題点が指摘された。 ●液晶プロジェクタは明るく文字が大きいため提示内容を読みやすい、という意見が多い。ただし、逆に大きすぎるため提示内容と手話を同時に読み取ることを困難に感じた受講者もあった。 ●液晶プロジェクタに表示しマウスで操作を行う場合には、マウス操作の間手話を使えず、話が途切れるという問題があった。タッチ式モニタによる操作ではこの問題をある程度改善することができる。 今後、提示物と講師の位置関係がどの程度であれば手話・口話の読み取りに適しているか、など定量的な評価を進める予定である。
|