本研究では、主に大学入試センター試験の改善に焦点を当て、多肢選択式客観テストの長所を生かしつつ論理的・数理的思考力および総合力等を測定することができる客観式テストの開発のための基礎研究を行う。本年度の実績は下記のとおりである 1.共通試験受験者の解答結果と思考過程の比較 前年度に選択肢の内容を変えた2種類の問題に対する受験者の応答の差を調べるモニター試験を行い、本年度はそのデータの解析を行った。問題文の設定の差による選択肢の選択率の差異および暗示的情報の種類や有無による選択肢の選択率の差異、前置された問題との連関問題に対する解き直し効果等について検討した。 2.理系科目における共通試験受験者の思考過程について 試験問題を解く際に要求される推理能力(ある事実・前提条件をもとにして他の事物に関する結論を得る能力)がより客観的に現れる理科系科目について、問題中の暗示情報(Hint)と推理能力との関係をモニター試験によって調べた。得られた成果については、日本行動計量学会第30回大会にて研究発表を行った 3.学力構造抽出法および統計手法の検討 主成分分析の空間表示に見られる性質について調べた。特に、テスト得点のような離散的な変数を用いた主成分分析の際に現れるクラスターの意味と性質およびそれを用いた受験者の特徴の分析方法等について調べた。得られた成果については、日本行動計量学会第30回大会にて研究発表を行った。
|