研究概要 |
平成14年度には,小学校の教師3名と中学校の国語科教師1名に対し,説明的文章の読みの学力観および授業観についてインタビュー調査を行った。また,小学校教師1名については,昨年度に引き続き説明的文章読みの授業(小学校2年生)の観察をあわせて行った。前年度と合計すると,小学校教師5名,中学校教師3名に対して調査を実施したことになる。 以上の調査によって得られたデータを分析・考察した結果,以下のことが明らかになった。まず,小学校教師と中学校教師の国語学力観の相違点であるが,小学校教師は,授業や学校生活における学習者の言語生活から課題を見出し,それを解決するものとして読みの学力を考える傾向が強かった。中学校の教師にもこうした側面は見られたが,むしろ教師自身の言語生活や社会における読みの行為のあり方をモデルとして,国語学力を措定する傾向が強かった。また,小学校教師は,説明的文章の読みの学力と書くことの学力とを関わらせてとらえようとするのに対し,中学校教師は,独自の領域としてとらえる傾向がうかがわれた。小学校の教師は,総合学習が行われるに当たって,国語学力の応用性・実用性を考えるようになっていた。次に,共通点であるが,教師が学力について明確な意識・理論を持っている場合には,学習者に対してどのような国語学力を身につけるかということついて説明したり,学習活動を意味づけることが行われる傾向が見られた。また,小学校教師1名の説明的文章の読みの授業の観察とインタビュー調査からは,教師の持つ学力観と教材解釈,実際の授業との間に密接な関わりがあることが明らかになった。
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