本研究の目的は、以下の3点である。 (1)評価の対象として収集する日本語発話の選定、及び日本人に評価させる方法とその具体的な基準や手続きの検討を行う。 (2)外国人なまりに対する日本人評価の実態を明らかにする。 (3)これまでの研究成果と併せて、日本人評価研究の方法論の整備・確立を目指す。 まず、本年度は発話データ収集の前段階として評価の対象としてどのような発話データを集めるべきかを検討した。具体的には、これまでの研究成果や、研究会等での発表・情報収集から、日本語非母語話者の日本語発話において日本人評価に影響を与える要因として、以下の(a)〜(d)の4つが示唆された。 (a)「学習者要因」:学習者の母語、学習暦、学習レベル、誤用の性質等 (b)「発話形式」:発話場面(公的・私的等)、スピーチレベル(普通体・丁寧体等)、朗読・独話・対話等 (c)「発話内容」:説明、交渉、質問、解説、切迫性等 (d)「媒体」:音声テープ・映像等 そこで、これまで上記4要因を取り上げて検討し、各要因に対応した様々な日本語発話を音声と映像の両面からデジタル・データとして収録・整備を行っている。 本年度に検討した方法論や日本語発話をもとに、今後もデータ収集を継続する予定である。同時に一般の日本人に評価させることにより、(1)(a)学習者要因、(b)発話形式、(c)発話内容、(d)媒体の各要因(2)評価者となる日本人自身の社会心理学的要因(3)評価方法と日本人評価や発話理解度との関係について実験的に検討する。
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