研究概要 |
パラメトリックモデルを用いた平滑化推定量を初期推定量とし、その残差をノンパラメトリックに平滑化したセミパラメトリックな平滑化推定量を提案し、その推定量の挙動を理論的、数値的に調べてきた。特に単純な密度推定問題において、このセミパラメトリック推定方式による密度推定量のクラスを提案した。その際、残差を加法的に捉えるのが特徴的であり、残差をノンパラメトリックに推定する統計量を調整項と呼んだ。理論的考察により、提案された推定量は、初期のパラメトリックモデルが母集団構造の少なくとも近傍に構成された時には従来のノンパラメトリック核型推定量を優越する事がわかり、その優越の度合いはパラメトリックモデルの持つバイアスが規定することを示せた、パラメトリックモデルがバイアスを持つ場合でも、調整項が残差に対して一致性を持つゆえ、提案された推定量自身は一致性を持つ事が証明され、調整を行う重要性が確認できた。このように、本研究で論じられた推定方式は密度推定量を提案するのみならず、初期のパラメトリック推定量の適合度を検証するための統計量を調整項として提出する。この調整項による「モデル選択」については幾分未完成の部分があるが考察を与え、次年度への指針を得た。理論的考察の成果は、2001年12月19-21日にオーストラリアのウロンゴンで開催された国際会議「Statistics, Combinatorics and Related Areas」で発表した。関連研究の成果として、同様な加法的調整に基づいたフルにノンパラメトリックな回帰推定量を提案し、縮小バイアスを誘導することを示し、これまで提案されていた積的な調整項に基づく推定量に対する優越性を示せた。この結果については、2001年9月1-4日に福岡(西南学院大学)で開催された第69回日本統計学会において発表した。
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