研究課題
パラメトリックモデルを用いた平滑化推定量を初期推定量とし、その残差をノンパラメトリックに平滑化したセミパラメトリックな平滑化推定量を提案し、その推定量の挙動を理論的、数値的に調べてきた。今年度は特に散布図平滑化、いわゆる回帰について考察を与えてきた。まずセミパラメトリック推定方式による回帰推定量のクラスを提案した。その際、残差を積的に捉えるのが特徴的であり、残差をノンパラメトリックに推定する統計量を調整項と呼んだ。理論的考察により、提案された推定量は、初期のパラメトリックモデルが母集団構造(真の回帰関数)の少なくとも近傍に構成された時には従来の単なるノンパラメトリック核型推定量を優越する事がわかり、その優越の度合いはパラメトリックモデルの持つバイアスが規定することを示せた。パラメトリックモデルがバイアスを持つ場合でも、調整項が残差に対して一致性を持つゆえ、提案された推定量自身は一致性を持つ事が証明され、調整を行う重要性が確認できた。またその研究の関連として、加法的調整を持つフルにノンパラメトリックな回帰推定量を提案した。この推定量は従来から議論されてきたデータシャープニング法と関連している事がわかったが、これまで十分に議論されていなかった漸近バイアス式、漸近分散式の導出、バンド幅選択などについてかなり詳しい考察を与えた。研究課題の一連の成果は2002年9月に明星大学で開催された2002年度統計関連学会連合大会、12月に東京大学で開催された科研費シンポジウムなどで発表した。
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