研究概要 |
ユークリッド空間や球面での判別分析から生成されるランキングについては,超平面配置の理論を用いることにより,以前すでにいくつかの結果を得ていた.それらについてさらに詳しく考察を推し進めることが,本研究の目的であった. 具体的には,生成されるランキングの個数については完全な解答を,生成されないランキングの特徴付けについては部分的な解答をすでに得ていた.そこでこの後者の問題に完全な解答を与えることが,本研究の最大の目標であった. 2001年12月に本研究課題の交付(追加採択)決定通知を受け,研究を開始した.そして2002年3月初め,この問題を解決することが出来た.さらにその過程で,実は以前導いていた結果が,数学的にもっと自然な方法で示すことが出来ることにも気付いた.それらの内容を論文にまとめ,投稿,発表を行うのが,今年度残りと来年度の課題である.(未発表の現時点で,ここで得た結果や証明のアイデアを述べることは差し控えたい.) またここで考察している問題が,理想点・理想ベクトルモデルと呼ばれるものと数学的に同値であることは,以前から分かっていた.しかし最近,これらのモデルが,社会的選択理論において独裁的でない社会的選択関数の存在を保証するために置かれる選好の制約とも密接に関連していることに気付いた.その方面への応用可能性についても,来年度検討したい.
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