研究概要 |
熟練者の今迄の経験や勘といった,明確には定量化されていない根拠に基づいて,二者択一の意志決定がなされている意志決定を自動化するために,熟練者が過去に意志決定を行ったデータベースに基づいて,将来の意志決定を自動化する.その手法は,Goの判断を下す条件付確率を求め,その条件付確率がある閾値を越えた場合にGoと意志決定する手法を提案している.提案した意志決定法で鍵となるのは,ヒトが何に基づいて判断を行ったかという点である.これは,提案法においては,条件付確率の因子(確率変数)となって現れる.意志決定の精度は,如何に適切に因子を選択するかに依存する.GoとNogoの条件付確率密度関数が離れるような因子を選定することにより,意志決定の精度を向上させることができるが,その確率密度関数の離れ具合を定量的に判断するための評価規範が必要となる. 本研究では,因子選定に必要となる確率密度関数の距離を測るための評価規範を提案した.因子選定の本質は,Goの分布とNogoの分布が出来るだけ離れるような因子を求めることにある.GoとNogoの条件付確率密度関数f(y|1)とf(y|0)の距離をそのまま評価するのではなく,GoとNogoの重み付き条件付確率密度関数Pf(y|1)と(1-P)f(y|0)の距離を評価する規範を求めた.さらに,因子選定評価規範の性質の把握、評価規範と過検出率,未検出率との関係の導出,因子選定アルゴリズムの導出,計算機シミュレーションによる評価検証を行った.
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