研究概要 |
θ_1を興味のあるスカラーパラメータ、θ_2を局外パラメータベクトルとした、母数ベクトルθ=(θ_1,θ_2)をもつ多母数モデルにおいて、θ_1の漸近2次推定問題について研究を行った。特に、修正された最尤推定量の族θ^^^_1+1/nc(θ^^^_1,θ^^^_2)から、望ましい推定量として、どのような推定量を選べば良いか、すなわち、2次項c(・)をどのように選べばよいかという問題について、漸近2次許容性という基準のもとで考察した。このとき、大きな問題点として、一般に、推定量の漸近2次許容性はパラメトリゼーションのもとで不変ではない。つまり、漸近2次許容的なある推定量は、別のパラメトリゼーションのもとでは、その望ましい性質をもたなくなるかもしれない。そこで、この研究においては、パラメトリゼーションに関係なく、常に、漸近2次許容性をもつ推定量の構成を試みた。しかし、こうした多母数モデルでは、局外パラメータベクトルの影響が大きく、推定量が漸近許容性をもつかどうかの必要十分条件は、あまりに複雑で一般的には構成することが難しく、また、条件の判定自体も困難である。そこで、ある特別なモデルとして、パラメータθ_1とθ_2が直交するモデルを考えた。この単純化されたモデルのもとで、直交性を保ったパラメトリゼーションに依らずに漸近2次許容性をもつ、ある推定量の一般形を得ることに成功した。また、θ_1がスカラーであるときには、元のモデルからの変数変換により、必ず、パラメータ直交性モデルが得られることより、パラメータ直交性をもつモデルの正当性と有効性もまた証明された。
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