本年度においては、遺伝的アルゴリズムにおいてその本質的な遺伝的操作であると考えられる交叉を効果的に適用するために必要なリンケージ同定に関する手法である、LIEM(Linkage Identification with Epistasis Measures)を開発するとともに、テスト関数を用いたリンケージ同定性能の検証を行った。LIEMは、遺伝子座間に存在するエピスタシス性(非線形性)をエピスタシス尺度を用いて計算することで、それら遺伝子座間に存在するリンケージを同定する手法である。また、遺伝的アルゴリズムを用いてインターネットにおけるルーティング(経路制御)を実現する手法であるGARA(Genetic Adaptive Routing Algorithm)を提案し、その有効性をシミュレーション実験により検証した。さらに、大規模ネットワークにおいて分散アルゴリズムにより分散帯域幅割り当てを行うアルゴリズムにおいて遺伝的アルゴリズムを適用することで、より効率的にネットワーク資源の割り当てを行うD-GRA(Distributed Genetic Routing Algorithm)を提案し、その有効性をシミュレーション実験により検証した。 現在、本研究で提案したLIEMを用いて大規模ネットワークシステムの設計を行う手法について研究を進めている。ここでは、広域・都市圏ネットワークを整備する際にどのように通信リンクを敷設するかを決定するプロセスにLIEMを導入した遺伝的アルゴリズムを活用することで、従来手法と比べてコストを削減することが可能となる。いくつかの実験ネットワークにおいてその有効性が検証されたところである。
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