研究概要 |
本研究では、個々の空間オブジェクトの形状や動きのデータとオブジェクトに付加された意味や情報を、「メディエータ」によって仲介し、スキーマ化することで、時空間のインデックス手法の確立をはかった。今年度は、空間オブジェクトの中でも特に人体形状と構造とその動作に着目し、複雑な人体構造および動作について、モデル化およびデータベーススキーマ化について考察した。 本年度の成果として、次の3点を挙げることができる。 1.人体構造を階層構造としたメディエータモデリングの実現 2.人体動作の特徴姿勢に着目したメディエータモデリングの実現 3.動作のモデリング手法の妥当性の評価 1.については、Hub-Mediator-Real World Dataという3レベルの情報のモデル化を行った。Hubとはあるオブジェクト群の共通情報を表すもので、いわばオブジェクト群のスキーマの役割を果たす。MediatorとはHubと個々の事例・事象(Real World Data)との直積の要素であり、Hubで示された規格によって記述された個別情報を少ないデータで表現する。この要素が人体動作データベースを構築するための本質的な要素となる。この概念を基に人体構造のモデリングにおいて、前述のオブジェクト群を人体の前腕、上腕、頭、首、胸などの動きの最小単位となる部品とし、動きの相関関係により階層的に連結した構造の定義を行なった。 2.については、一連の人体の動きの中で特徴姿勢を抽出し、その瞬間の姿勢をメディエータとした。また、特徴姿勢間の中間姿勢は、Inverse Kinematicsなどを用いることで算出可能であることを示した。特に1.と関連させて、人間の歩行動作の事例についてPREMUS2001で報告した。 3.については、1.,2.の成果を基に、人体動作に対するメディエータモデリングの妥当性の評価を行ない、さらに、工場における作業者の作業動作に対して適用した事例について、概念モデリング国際会議(ER2001)HUMACSワークショップで報告した。また高速グラフィックス表示装置を用いてメディエータをそのままCGとして再現し、再構築する手法の提案と実装評価を行い、報告した。
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