研究概要 |
本年度は,モバイルコード技術を応用してアプリケーション層プロトコルの自動配布を可能にするシステムの設計および実現を行った.インターネットなどの広域分散環境では,共通のアプリケーション層プロトコルを用いて,ユーザが互いに情報をやりとりする.こうしたアプリケーション層プロトコルは情報通信の基盤となるため,一旦広く普及してしまうと,改良・拡張した新しいプロトコルに置き換えて再び普及させることは難しい.本年度は,モバイルコード技術を用いて、新しいアプリケーション層プロトコルの普及を容易にする手法の開発を行った.一般にモバイルコードを用いると,ソフトウェアに高い拡張性と柔軟性を与えられる反面,セキュリティの確保が難しい.本システムでは,モバイルコードの用途をアプリケーション層プロトコルの普及に限定することによって,システムの安全性を保ちつつモバイルコード技術の利点を享受できることを示した. 本奨励研究の目的はアプリケーション層プロトコルの実現を容易にする特定領域言語を設計することにある.上記のシステムの設計・開発を通じてアプリケーション層プロトコルについての深い知識と経験を得ることができた.この知識と経験を活用し,来年度以降は実際にアプリケーション層プロトコルの実現に特化した特定領域言語の設計・開発を進める予定である.
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