ハイブリッドアドホックネットワークの構築手法に関する研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13780222
• 研究種目: 奨励研究(A)
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 河口 信夫 名古屋大学, 大型計算機センター, 助教授 (10273286)
• キーワード: アドホックネットワーク / 無線LAN / 通信シミュレーション / 通信プロトコル / ルーティングアルゴリズム / モバイルエージェント / Bluetooth / モバイルネットワーク

研究概要

本研究では、様々な通信デバイスを用い、効率の良い通信を手軽にアドホックな状況で行えるハイブリッドアドホックネットワークの構築、およびその応用に関する研究を目的とする。
特に、多くの携帯端末に実装されている赤外線、および今後の普及が期待される無線デバイスを同時に用いる場合の問題点とその解決法を明らかにする。赤外線通信は指向性が高く、有効通信範囲が狭く、近接させて1対1の高信頼通信を実現するのに対し、無線通信は指向性や通信範囲の制限が少なく、1対多通信であるが、バーストエラー等の問題が存在する。初年度は、無線通信の通信速度・品質、到達距離・範囲、エラーの発生状況等に関し詳細な調査を行い、その結果に基づき、精密なシミュレーション環境を構築した。当初の計画は赤外線通信のみであったが,赤外線に加えBluetooth等の新世代のネットワークデバイスに関する調査やPHS,携帯電話における調査も行った。
また、同時に通信のテストプログラムを作成し、実際の環境と、シミュレーション環境を比較し、より精密な環境を構築した.また、開発したシミュレーション環境を用い、ハイブリッドアドホックネットワーク構築プロトコル、及びモバイルホスト間の効率的なルーティングプロトコルの開発を行った。通信では到達範囲が制限されているため、隠れ端末が一般の通信に比べ多く存在する。また、赤外光を遮るだけで通信リンクは切れ、赤外リモコンや日光等による外乱により通信エラーが頻発する状況がある。これらの赤外線通信に特有な問題点を考慮し、効率的な通信、ルーティングを行うプロトコルの開発を行った。
さらに、モバイルエージェントを用いたアプリケーション開発用のミドルウェアの開発を行った。これにより、ハイブリッドアドホックネットワーク上で様々なアプリケーションを容易に構築することが可能になる。

研究成果

• [文献書誌] Nobuo Kawaguchi: "Multimedia Data Collection of In-Car Speech Communication"Proc. of the 7th Eurpean Conference on Speech Communication and Technology(EUROSPEECH2001). 2027-2030 (2001)
• [文献書誌] Yuuki Miyagoshi: "Flexible Group Management on Ad Hoc Network Using Mobile Agents"Proceedings of the 4th International Symposium on Wireless Personal Multimedia Communications(WPMC2001). 835-840 (2001)
• [文献書誌] Nobuo Kawaguchi: "Multi-Link Ad-Hoc Communication System based on Mobile Agents"Proceedings of the ACIS 2nd International Conference on Software Engineering, Artificial Intelligence, Networking & Parallel/Distributed Computing(SNPD'01). 311-318 (2001)
• [文献書誌] 河口信夫: "cogma:動的ネットワーク環境における組み込み機器間の連携用ミドルウェア"情報処理学会コンピュータシステム・シンポジウム. 1-8 (2001)
• [文献書誌] 春木洋美: "耐タンパハードウェアを用いたモバイルエージェント保護手法"マルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム論文集(Di-CoMo2001). 43-48 (2001)
• [文献書誌] 河口 信夫: "複数の音声対話システムの統合制御機構とその評価"情報処理学会研究報告. No.54(NL-143). 63-70 (2001)
• [文献書誌] 河口信夫: "情報技術用語大事典"オーム社. 1200 (2001)