研究概要 |
グラフの古典的な連結度である辺連結度または点連結度を増大させる問題を中心に,グラフの連結度に関する問題の研究,高速グラフアルゴリズムの開発を行った. まず,辺連結度と点連結度を同時に増大させる問題に対し,次の結果を得た.辺連結度と点連結度は本質的に異なる概念であることから,これまで辺連結度増大問題と点連結度増大問題は別々に扱われて研究されてきたが,新たに両連結度を統合させた解析を行うことで,辺連結度をl(lは2以上の整数)に,点連結度を2に同時に増大させる問題について,はじめて多項式時間アルゴリズムを構築した.このとき,辺連結度の要求に関しては,全ての2点のペアについて一定ではなく,異なる値が与えられる場合についても,問題が多項式時間で解けることを示した. また,2点のペア毎に要求量が異なる局所点連結度増大問題に対し,次の結果を得た.この問題は,これまで一般にNP完全であることが知られているが,要求量が節点数に依存しない場合についてはNP完全かどうか知られていなかった.要求量が0か定数kで,入力グラフが(k-1)-点連結の場合にも,問題がNP-完全であることを証明した.また,k=2の場合に関して,1.5倍近似アルゴリズムを構築した.この近似比は,これまでの最良の近似比2を改善したものとなっている. 連結度増大問題とは別に,点連結度要求を持つ供給点配置問題に対して,はじめて多項式時間で解けることを示した.供給点配置問題とは,供給点集合とそれ以外の点との間の連結度が要求量以上になるように(点に付された)コスト和最小の供給点を配置する問題であり,近年様々な連結度要求を持つ問題について研究されている問題である.
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