研究概要 |
IPv6においては単一データリンク内の通信においてのみ有効なリンクローカルアドレスと、そのステートレスアドレス自動設定の手続きが規定されている。しかし,それぞれ異なる特性を持つ多種多様のデータリンク層メディアをアドホックに接続してQoS保証も考慮したIPネットワークを構成するためには、QoSルーティングの機能を持つルータによりネットワーク層で統合する、マルチルータ環境を想定する必要がある。 本年度の研究では、マルチルータ環境を対象としてIPv6のサイトローカルアドレスをゼロ設定(zeroconf)でステートレスに自動割り当てする枠組を提案した.提案する方式では、当該リンクに最初に接続されたルータが,そのリンクのリーダとなって,16bitのsubnet ID部分をランダムに選んだプレフィックスを生成する.アドレスのサイト内での一意性を保証するために,RIPngを拡張したプレフィックスアドレス重複の検出方法を示した.重複が検出されると直ちにリンクリーダへ通知され,IPv6のアドレス付替の仕組を用いて新たなアドレスへの付替が行われる. 一方、IPv6において移動透過性とマルチホーミングを同時に実現する新しいネットワークアーキテクチャであるLIN6の検討を行い、LIN6環境でのサイトローカルアドレス利用の親和性と、とくにマルチホーミングへの応用の可能性について検討を行った。LIN6においてはインターネットのend-to-end原理を崩さずNATを用いることができることから、家庭内LANのようなファイアウォールの内側のネットワークにおいてサイトローカルアドレスを用い、対外接続においてLIN6によりマルチホーミングを行う方式を提案した。
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