研究概要 |
本研究の平成13年度の主な課題は,データ並列プログラムにおける制御の並列性をユーザが明示的に記述することが可能なプロトタイプの言語仕様及び言語処理系の開発,実行環境となる並列計算システムの構築,およびそのシステムの基本性能評価である. 1.プロトタイプ言語設計:プロトタイプの言語としては,データ並列C言語(DPCE, Data-parallel C Extension)のサブセットに対して,マルチスレッド処理のための構文を追加したものとした. 2.言語処理系の設計と実装:言語処理系を実装は,開発するコンパイラの性能評価を容易に行なえるように,まず,ソフトウェアにより仮想的な並列計算機(仮想マシン)を実現した.コンパイラが生成したコードで用いられる実行制御管理,メモリ管理,プロセッサ間通信等の実行時ライブラリ群の実装を行なった.コンパイラ本体の実装は,まだ,完了していない. 3.並列計算システムの構築と基本性能測定:実験環境として,マルチプロセッサPC4台を100Mbpsおよび1Gbpsのネットワークスイッチで結合した並列計算システム(PCクラスタ)を構築した.そのシステムの基本性能の測定を行ない,このシステム上に2.で述べた仮想マシンを実装し,その基本的な性能評価を行なった. 今後は,言語処理系(コンパイラ)の実装を終えた後,設計した言語にて代表的なベンチマークプログラムを記述し,構築した実験環境にてマルチスレッド化による実行効率の効果を明らかにする.また,その結果を元にプロトタイプ版の言語仕様,ならびに言語処理系の改良を行ない,高効率実行のためにコード最適化手法のための性能データの収集・解析を行なう.
|