研究概要 |
これから急速かつ広範囲にわたって実用化が進むと予想されている企業間電子商取引は,売り手および買い手が複雑な条件を提示しながら進める交渉過程が重要な位置を占めると考えられる.売り手および買い手のそれぞれの条件を制約として形式的に記述し,それをデータベースに蓄積し検索することが考えられる.これにより,売り手および買い手が,条件が整合する可能性のある相手を探したり,相手の条件の充足を確認することが可能になり,高度な電子商取引サイトの構築が行なえる.本研究では,研究代表者が提案している動的制約代数というデータベース質問言語を基礎として,多様な交渉が可能な電子商取引データベースを開発することを目的とする. 本年度は,以下の研究を行った.本研究の目的は以下からなる. ・電子商取引における,売り手および買い手双方の条件を動的制約として記述し格納する,動的制約データベースを設計した. ・動的制約代数の効率的な質問処理アルゴリズムを開発した. ・動的制約代数の処理系を実装した.これにより,売り手あるいは買い手側から相手の条件を検索したり,双方の条件の照合を行なう. 開発したシステムは以下の主要素からなる. 1.動的制約データベース入出力ツール:動的制約の構文解析を行ない,これを商用のオブジェクト関係データベースに格納する. 2.動的制約代数質問インタフェース:動的質問代数の対話型およびバッチ型質問インタフェースであり,質問の構文解析を行ない,質問処理エンジンに渡す. 3.動的制約代数質問処理エンジン:与えられた質問の局所的な最適化を行ない,それから動的制約データベースに対し質問評価を行なう. 開発したシステムにより,売り手と買い手の条件を照合する問い合わせの評価実験を行った.次年度は,処理系のアルゴリズムの効率化等について研究を進める.
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