研究概要 |
近年インターネットでは電子商取引や音楽配信を始めとする様々なサービスが提供されるようになってきた.また,利用者数も爆発的に増加している.この結果,人気のあるサーバに処理要求が過度に集中し,サービスの提供が不可能になるという問題が表面化してきた.インターネットが社会基盤となりつつある現在,この問題の解決が必要となっている.この問題の原因は,サーバの処理能力のスケーラビリテイが不足していることにある.その対策として,複数の計算機を用いた場合,処理要求をどのようにして分散させるかが,高いスケーラビリティを実現する鍵となる.そのために必要な技術は,各処理要求毎に最適なサーバを選択する「サーバ選択」技術である. サーバ選択機構という枠組みはサービスに非依存であるべきだが,サーバ選択方針は,サービスの種類やサービス提供者の判断で異なってくる.そこで,様々な場合に対応できるよう多くの選択方針の開発が必要である。本研究では、選択の判断に経路情報を利用する選択方針を開発し、実運用システムで利用し評価を行った。 サーバ選択に先立ち、広域負荷分散配置したサーバ群がもつ経路情報を収集する。この経路情報は通常のルータ間での経路情報交換プロトコルをそのまま利用することで、状況変化に即応することが可能となった。サーバ選択の際に、この収集した経路情報を利用し、利用者から最も経路が近いサーバへ誘導した。 本システムを、インターネット上の月食中継におけるストリームサーバの選択および、日食中継におけるWWWサーバのサーバ選択に適用し、結果を電子情報通信学会技術研究報告(インターネットアーキテクチャ研究会)IA2001-8「広域分散ストリーム配信における経路情報の利用」および、ギガビットシンポジウム2001「広域分散Webサーバにおける経路情報を用いたサーバ選択」として発表を行った。また、RingServer ProjectのFTP, WWWサーバにおいて継続的に評価実験を続けている。
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