チェックポイントリカバリによるネットワークシステムの耐故障性に関する研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13780253
• 研究種目: 奨励研究(A)
• 研究機関: 東京電機大学
• 研究代表者: 桧垣 博章 東京電機大学, 理工学部, 助教授 (70287431)
• キーワード: ネットワーク / フォールトトレランス / チェックポイント / マルチメディア / モバイルコンピューティング / 一貫性 / リカバリ

研究概要

チェックポイントリカバリによって、ネットワークシステムの耐故障性能を高め、システムの可用性を高める技術に関して、本研究では、マルチメディアネットワークシステムとモバイルネットワークシステムを対象に研究を進めている。マルチメディアネットワークシステムについては、大容量のデータとなるマルチメディア情報をやりとりするために、送受信イベントの途中でチェックポイントの設定を行なうことを可能とする新しいチェックポイントの一貫性評価方法を導入し、この一貫性を高めるチェックポイントプロトコルを設計した。メッセージの受信イベントの途中でチェックポイント設定要求を受けた場合にチェックポイント設定を延期することで、高い一貫性を獲得できる。ただし、この方法では、故障からの回復時の時間オーバヘッドが大きくなることがあるため、これをオンラインで評価する方法を考案し、チェックポイントデータから送信バッファにあるパケットの一部を削除する方法を検討しており、次年度にこの有効性と正当性を明らかにする。一方、モバイルネットワークシステムについては、各種の無線LANプロトコルを通信モデルに基づいて分類し、従来対象としていた集中型通信モデルのみでなく、他のモデルにも対応可能な複合チェックポイントプロトコルを設計した。同一の基地局の通信範囲(セル)に属する移動コンピュータは互いに直接通信可能なモデルを対象として、通信に信頼性がある場合とメッセージの紛失が発生する信頼性のない場合、通信途中で移動コンピュータがこのセルの外に移動しない場合と移動する場合に分類して、プロトコル設計を行なった。次年度は、セル内にある移動コンピュータとセル外にある移動コンピュータが互いに通信可能な位置にあればメッセージの交換を可能とするモデルや、基地局がそもそも存在しないアドホックモデルを対象としたチェックポイント技法、さらに、モバイルマルチメディアシステムを対象とした技法の検討を行なっていく。

研究成果

• [文献書誌] Higaki, H., Osada, S.: "Fault-Tolerant Multimedia Communication Networks with QoS-based Checkpoint Protocols"International Journal of Computers and Information Science. Vol.2, No.4. 172-181 (2001)
• [文献書誌] Higaki, H., Osada, S.: "Fault-Tolerant Multimedia Communication Networks with QoS-based Checkpoint Protocol"Proceedings of the 7^<th> International Conference on Distributed Multimedia Systems. 226-233 (2001)
• [文献書誌] Higaki, H., Morita, Y.: "Checkpoint-Recovery for Mobile Computing Systems"Proceedings of the 21st International Conference on Distributed Computing Systems Workshops. 479-484 (2001)
• [文献書誌] Higaki, H., Morita, Y.: "Checkpoint-Recovery for Mobile Intelligent Networks"Lecture Notes in Artificial Intelligence. 2040. 455-464 (2001)
• [文献書誌] Higaki, H., Osada, S.: "QoS-based Checkpoint Protocol for Multimedia Network Systems"Lecture Notes in Computer Science 2195. 2195. 574-581 (2001)
• [文献書誌] Higaki, H., Morita, Y.: "Checkpoint-Recovery in Wireless LAN Environments"Proceedings of the 2nd International Conference on Software Engineering, Artificial Intelligence, Networking and Parallel/Distributed Computing. 354-361 (2001)