本研究の目的は、各計算機上でファイルの入出力を自律的に管理し、計算機間で必要に応じた情報交換を行うことで、必要とされる情報提供を行う分散データベースシステムを設計することにある。このような背景のもと、分散システムを実装するための情報共有言語の設計を行うとともに、異なる計算機のシステム間のデータベースにおける情報の共有を可能にするアーキテクチャを設計した。これにより、単体の計算機内のシステム間、複数台の計算機で動作しているシステム間など、情報共有を可能にした。 本研究に基づく成果物として、複数の計算機上で動作するプランナ間の情報を共有させることで、プランニング処理の分散化、そして探索過程の情報交換による探索処理そのものの効率化を実現した。この結果、使用する計算機台数の増加に伴い、プランニングに要する処理時間を台数効果以上に短縮することに成功した(8パズルのプランニングにおいて、10台の計算機を利用することで、1台の場合の50倍の速さで同一の解を求めることに成功している。)。また、計算機どうしの情報共有による、ネットワークセキュリティシステムも実現している。これは、各計算機にネットワークを介して流れ込むパケット情報や、各計算機の稼動状況(動作中のプロセス状況)を個別に監視するシステムを構築し、本アーキテクチャによりそれらの監視システム間の情報を共有することで、不正侵入者を追い詰めるシステムを実現している。これらの成果は人工知能学会全国大会や米国のMITで開催されたWETICEワークショップで研究報告を行っている。
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