研究概要 |
我々がこれまでに提案してきた連続時間パルス発火ニューロン素子の外部入力に対する応答特性を調べるための前準備として,本年は次の2点に関して研究を行ない,その成果を国内の研究会及ぴ国際会議で報告した. 1.周期的入力に対する単一カオスニューロン素子の応答特性 連続時間パルスニューロン素子の応答特性にも,カオス的な応答特性が見られることが分っている.そこで,応答がカオス的であることが機能的に何を意味し得るかを調べるために,計算が用意な単一オスニューロン素子を用いて,そのシヌソイダル入力に対する応答特性を調べた.得られた成果は以下のとうりである. ・単一カオスニューロン素子に,シヌソイダル入力を与えると,入力強度が大きくなると,応答のスパイク間隔が短かくなる.更に,応答特性は,入力によって有意に異なる. 以上の結果より,単一カオスニューロン素子は,入力強度変化を応答のスパイク間隔でコード化する機能を有するといえる. ・単一カオスニューロン素子がカオス応答を示すパラメータ領域で,コード化機能がノイズに対して頑健である. 2.時間的に変化するシステムパラメータを有するロジステック写像の動力学 単一カオスニューロン素子や連続時間パルスニューロン素子の応答特性は,システムパラメータの値に応じて変化する.では,このようなシステムパラメータの値が時間的に変動するとどのようなダイナミックスが生じるのかということが問題となる.そこで,数学的にも現象の解析が容易であるロジステック写像を用い,ロジスティック写像のシステムパラメータの値を時間毎に変化させることで発生するダイナミクスの動力学を研究した.得られた成果は以下のとうりである. ・ロジスティック写像のシステムパラメータの値を時間毎で周期的に変化させると,あるパラメータ領域で,異なるアトラクター(周期-周期,周期-カオス,カオス-カオス)が共存すること. ・これらのアトラクターベイスンはフラクタル的構造を有する.
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