本研究ではリモートセンシング等の分野で普遍的に利用されている多バンド画像データベースに対し、空間情報とスペクトル情報の両面を統合して有用な知識の発見支援を行うシステムを開発することを目的としている。具体的には異なるバンド間の画像位置合わせ、観測条件の校正等のデータスクリーニング、画像特徴の抽出、スペクトルの分類を行い、このような2次的な情報をもとに、特徴の要約や特異なデータの発見を行い、ユーザからのフィードバック解析を支援する。またデータの大規模性を考慮して、計算機による自動化と専門家による知識の導入や評価を有機的に結合させる。このようなシステムを実データに適用することによりそのパフォーマンスを評価する。 本年はRAIDを導入してNASAから発行されているClementine衛星の生画像を収録した。これらの画像は位置に対して整理されておらず、バンド間のピクセル位置が正確に一致していないため、画像内に含まれる地形の特徴を抽出して自動的に位置あわせを行うモジュールを作成した。さらに、観測条件(入射角度、出射角度)の校正を行うことにより、反射スペクトルデータとしての解釈が可能になり、クラスタリング等の手段による特徴要約ができるようになる。クラスタリングの結果は擬似カラー画像としてユーザに提示し、ユーザからのフィードパック処理が行えるようにする。これらの個々の基本的なプロセスについて有効性を確認した。 また、今年度はスペクトルや画像特徴の認識手法として、SVMや主成分分析/独立成分分析の組み合わせ手法も検討した。その他に空間知識発見の基礎として、特徴的地形のオブジェクトとしての抽出、大量データからの知識発見を前提としたデータのインデクシングとそこからの知識発見を行う基礎的検討も行った。次年度はこれらのモジュールを統合して知識発見支援システムとして実装し、その評価を行う予定である。
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