本研究では事故を未然に防ぐため、危険状況事例を用いて交差点内に潜在する事故の原因となる危険要因の分析および危険予測手法を考案することで、事故が起こりうる危険を予知し、事故の要因を取り除く提案を行うことを目的としている。 ビデオ画像から抽出した数値データの分析を行った結果、交差点における車や人(オブジェクト)の動きがn重マルコフモデルに基づくと仮定し、対象となるオブジェクトの現在、あるいはそれ以降のパターンが、過去0.1×n秒間の推移から確率的に予測できると考えた。本研究では、危険でない事例に基づいて予測されたオブジェクトの動きと、危険事例の動きとの差異により危険予知および要因特定を行うというアプローチをとる。 本年度は予測のための危険でない事例の数値データ化にとりくみ、同一交差点において約140台分のデータ化を行った。このデータを基に、過去0.1×n秒間の推移と現在のパターンをルールとし、実測値と比較する際の標準的な推移モデルのプロトタイプの作成を行った。しかしながら、現状のモデル中では、3重マルコフモデルと仮定した場合で約75%、5重マルコフモデルと仮定した場合約80%もが1度しか表れないルールであることがわかった。つまり、ほとんどが特異な推移を行うため、経路予測が可能なモデルには至っていない。今後、まったく推移が一致した場合だけでなく、類似した推移を行った場合でもルールの適用を可能にすることでモデルの補正を行う。
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