本研究では、ソフトウェアによって制御可能な電話交換機およびメールサーバ、WWWサーバによって構成されたコミュニケーションシステムであるCAMS (Context Aware Messaging Service)を構築している。 本システムは、実際の都市空間におけるユーザの位置情報を取得可能なPHSを用いた位置情報と、ユーザが入力したスケジュール情報とを、コミュニケーションシステムを連動させたシステムである。これらの情報を用いて、各ユーザの状況に応じたメッセージの動的配送を実現するとともに、ユーザどうしがおたがいの状況を共有するシステムとすることで、モバイル環境にいる複数のユーザどうしのスムーズなコミュニケーションの実現を図る。 平成13年度では、これまでの実験から得られた知見および課題点を踏まえ、Home Officeユーザ向けにシステムを新たに設計し直して構築し、若いワーキングマザーのグループを実験ユーザとした実験を5週間東京都内で行った。 CAMSにおいてどのような情報をユーザに提示した際にコミュニケーションにどのような変化が起きたかを定性的に把握するため、3つの運用方法をそれぞれ一定期間行い、比較検討した. 1)メッセージの動的な配送のみ 2)メッセージ受信者の位置および状態を発信者に提示した上で、メッセージを動的に配送 3)メッセージ受信者の位置およぴ状態、利用可能なメディア(固定電話、携帯電話、E-mailなど)を発信者に提示した上でメッセージを動的に配送 その結果、本システムがグループ内のコミュニケーションをスムースにする効果があることが確認された.また実験結果から方式3)がもっともユーザに好まれることが分かり、また、本システムの改良すべき点を把握することができた.
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