携帯電話およびモバイル環境は発達するばかりであるが、モバイル環境では時々刻々変動する受信側の状況を共有することが難しいため、コミュニケーションの成立を阻害する一因となっている。我々はこうした問題を解決するべく、時間(スケジュール)と空間(場所)に応じて最も適していると思われる通信手段を選択してメッセージを動的に配送するとともに、またグループ内のメンバの状況(スケジュールと場所)1を共有するためのシステム、Context Aware Messaging Service system(以下CAMS)を構築した。空間的に分散した若いワーキングマザーのグループをユーザとした実証実験を6週間に渡って行い、CAMSの評価を行った。職住が一致した労働環境において、お互いの状況をWWWで共有できること、外出時の状況を携帯電話の位置情報を通じて共有できること、状況に応じたコミュニケーションを取れることに対して、大きな評価を得た。 次年度には、これらの実験からの知見を下に、システムを携帯電話向けに改良を行ったシステムであるiCAMSを構築した。従来のシステムにおける欠点であった、携帯する機器の大きさの問題、共有した情報を下に連絡をとるまでのタスクの複雑さ、発信側と受信側の要求間の齟齬、といった点を解決することを図った。それらを解決する方策として、アドレス帳を自分から位置の近いもの順に並び替える、各々のユーザの電話番号および電子メールアドレスのリストを位置情報およびスケジュール情報を用いて優先順に並び替える、というインタフェースを採用した。空間的に分散した学生グループおよび社会人グループをユーザとした実証実験を8週間に渡って行い、iCAMSの評価を行った。提案したインタフェースがグループ内のコミュニケーションを円滑化し、位置情報を随時共有できることがグループ内の結束感を高める、という知見を得ることができた。
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