研究概要 |
本研究はモバイル環境において位置依存のサービスを提供できる地理情報システムの構築を目的としている.構築する地理情報システムはActiveGISと呼び,データベース技術の一つであるアクティブデータベースを基盤として動作する.位置依存サービスはアクティブデータベースの動作記述言語であるECAルールによって実現され,ルールを動的に配信して追加・削除を行うことで位置依存のアプリケーションを実現している. 平成13年度は,ActiveGISの基本アーキテクチヤの設計およびプロトタイプの実装を行った.まず,位置依存サービスを提供するためのECAルールの言語仕様を決定し,XECAとして提案した.XECAとはECAルールをXML形式で表現するもので,「店Aに近づいたら店舗情報を要求する」など,位置依存サービスが記述できるように設計した.次に,ECAルールの処理系を設計し,ルールの整合性を判断し,無限ループなどの異常動作を検出するための機構である動的トリガグラフ構築機構を提案,評価した.本機構を用いることで,ルールの異常動作が発生前に検出でき,より安全な地理情報サービスを提供できるようになる.さらに,放送型モバイル環境においてユーザからの問合せを効率的に処理する枠組みおよび,受信する情報の中から必要なデータを抽出する情報フィルタリング技術を定式化する枠組みをそれぞれ提案し,それらの機構をもとにプロトタイプシステムの実装を行った.プロトタイプシステム上で実際にアプリケーションを動作させ,ECAルールを用いることで柔軟な位置依存サービスが行えることを確認した.
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