本年度は、遺伝的アルゴリズムを検索システムに適用することを行った。具体的には、ユーザに評価してもらったドキュメントからユーザの興味を抽出する手法の設計、用いる遺伝的アルゴリズムのパラメータ調整、評価シミュレーションを行った。 ・興味の抽出手法の設計:興味の抽出に利用する遺伝的アルゴリズムとして、UNDXによる実数値遺伝的アルゴリズムを利用した。この遺伝的アルゴリズムでは、ユーザの興味を表すユーザプロファイルそのものを遺伝子として進化させることができるので、適合度を求める際に、ユーザの評価をダイレクトに反映させることが可能である。また、探索範囲が両親を結ぶ線を長軸、第3の親との距離を短軸とした楕円領域上に、正規分布にしたがって子供が生成されるので、関連フィードバックより広範囲を探索することができる。 ・遺伝的アルゴリズムのパラメータ調整:各遺伝子の適合度の収束を考慮して、遺伝子のグループ数、交叉回数、世代数などの調整を行った。これにより、本手法により、ユーザの興味に応じてドキュメントが分類できることを確認した。 ・評価シミュレーション上記の設計と実験をもとに、実際のドキュメント分類性能を評価した。シミュレーションの結果より、関連フィードバックより選択精度の良いユーザプロファイルが作成できることを確認した。また、対象ドキュメントの増加にともない収束までの時間が長くなってきたので、複数のマシンで分散して進化が行えるように改良を行った。これにより、収束に要する時間を大幅に短縮することができた。
|