情報技術は社会においてますます重要な役割を演じるようになってきており、その情報技術を支えるのが情報科学であるが、その実態は必ずしも明らかではない。この実態を明らかにし、国際比較や他分野との関連性と研究成果等の関係を調べることは今後のこの分野の発展のための重要な資料となる。これまでの研究で問題となったのは日米双方における分野分類の違いのために統計比較が困難であることである。さらに日本の情報科学においては分野分類自体、決まったものがあるわけではないというのが実情である。 これまでの調査には、情報処理学会編の『情報処理ハンドブック』分野分類、科学研究費補助金の部・分科・細目表等の分類と研究者ディレクトリデータベースのデータ等を利用して分析してきたが、データベースの調査目的が研究課題の申告を主としているため、研究分野に対してあいまいな表現が多く、正しい回答が得られていない点があることがわかった。 本年は、これまでの研究をふまえ、以下の調査項目についてアンケート調査をおこなった。 1.専門分野、研究課題に対するキーワード、および分野分類について 2.投稿する論文や、世界の中での日本の情報科学研究のレベルについて 3.学協会について 4.他分野との連携について 調査対象は情報科学に関係の深い分野から、平成12年度の研究者ディレクトリデータベースから1800名の調査対象者を無作為抽出した。母集団は現在の専門分野、あるいは現在の研究課題に対する分野コードに少なくとも「計算機科学」、「知能情報学」、「情報システム学」のいずれかが含まれている常勤(教授、助教授、講師、助手)の研究者6166名である。また、調査対象が多いので、印刷、発送、回収、データ入力は外注した。 現時点で約370名からの回答があり、入力作業も順調に進んでいる。来年度は、この結果を用い、これまでの結果の詳細な詰めや、キーワードによる分野分類および他分野との関連、新しい科学研究費の分野分類との対応など多方面への適用を予定している。
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