本研究は、意思決定構造を多様体構造として捉えることによって種々の特徴・性質を探る。そして、評価における複雑な相互作用が、意思決定に及ぼす影響を定量的に把握するための概念を公理的に導き、これらの理論に基づいたコンピュータシステムを構築し、これが広く利用されるようにすることを目的としている。 今年度は、初年度であり、主として数理科学的な理論を中心に研究を行った。これにより、「評価における複雑な相互作用が、意思決定に及ぼす影響を定量的に把握するための概念の公理的特徴付け」に関して次のような成果が得られた : (1)シャープレイ型、バンザフ型、連鎖型、内部相互作用指標は、いずれも、加法性・k単調性・独立共同体の非相互作用性・対称性の4つの公理によって基本的な性質が特徴付けられる。(2)シャープレイ型、バンザフ型、連鎖型の相互作用指標は、上の4つの公理に加え、効率性、共同体の縮約整合性、共同体の等配分性の3つの公理のうち2つの公理を満たすことによって特徴付けられる。つまり、この3つの相互作用指標のいずれも他の2つの相互作用の中間的な性質を持っていることが明らかにした。 また、任意のショケ積分で表現される区分線形多様体が、或る2段のショケ積分によって、区分線形面に分解されることが最近の研究において明らかになった。現在、この型の2段のショケ積分によって、サブシステム分解可能な、ショケ積分モデルで表現される評価構造がどのようなものであるかについても調査中である。
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