研究概要 |
本研究では,ロード・プライシングの問題を,交通量の上限が与えられた道路網と,各地点間の交通量が与えられた時,渋滞を回避する課金の中で,最適なものを決定する問題としてとらえ,数理モデルの提案と高速な解法の開発を試みる.本年度に得られた知見は,次の二つに大別される. 1.課金を時間に同じ係数で線形に換算するモデルでは,交通量の制約を満たした交通流が存在するならば,その状態を実現する課金体系が常に存在し,線形計画法により求められることを示した. 2.Dialが発表した課金決定の解法(交通量に上限を設けない連続的なモデル.多品種フロー問題の変種に帰着.)は,正当性や計算手間が示されていないものであったため,既存の多品種フローの解法を検討した.Karakostasが新しく発表した高速解法の欠陥を指摘し,修正後の解法の正当性を確認した.また,計算機実験を通じ,この解法の実際的な性能を評価した. 今後は,2の高速解法を多品種フロー問題の変種への適用を目指す.また,課金/時間の換算係数が異なる場合の扱いを検討する.
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