研究概要 |
本研究は、制度の異なる国家間でのインターネット利用による電子決済物流,つまり国際電子商取引の実現を目的とする。そこで我々は情報公開を原則として大学や民間の関連機関などで構成されるチャイナ保証ネットワーク(CHN)コンソーシアムを結成し,近い将来実現すると予想される日本と中国における国際電子商取引の基本となる信用保証問題の研究を進めている。国際電子商取引は,会員制の信用取引を基本とするが,異なる商習慣から取引事故の多発が予想される。現行の民事法は国際間の処理制度規定が整っていないため,民間の国際商取引に関わる損害保険制度を応用した電子決済物流に関わる信用保証制度の研究が待ち望まれている。今年度は,日中国際電子商取引のリスクに関するリスクコントロール(事前の予防対策)とリスクファイナンス(有事に備えての保険や他の財務手段の整備)の二つを軸としたリスクマネジメントのシステム構築を行った。リスクコントロールは,任意加入する国際会員制規約(民間の契約ルール)に加入者した会員を対象にした品質保証制度により実施する。これは会員間の電子商取引における品質保証制度であり,民間保険保証を導入することにより実現する。リスクファイナンスは,従来の物流に関する海上火災保険などを加味して開発した電子決済物流に必要な保証保険制度により行う。とくにリスクコントロールについては,CHNコンソーシアムにおいて中国で独自に設立した検査機関により,工業製品や野菜などの検品による事故確率を調査した。これらの調査結果に基いて日中国際電子取引における中国側の事故確率の予測を行った。
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