研究概要 |
平成13年度における本研究の成果として,以下に述べる知見が新たに得られた. 1.秋田県米代川流域全体にわたり,地質調査を行った.その結果,十和田火山最新噴火に伴う泥流堆積物の分布域が判明し,火山泥流によって洪水災害の及んだ範囲を推定することが可能となった. 2.埋没家屋の発掘調査によって,最外年輪を持ち,樹種,年輪数ともに年輪年代測定に適する試料が得られた. 3.埋没家屋の建材について年輪年代測定を行い,伐採年代として912年という値が得られた.その結果,家屋は912年以降に建造され,その後で泥流災害により埋没したことが判明した. 4.年輪年代測定結果および平安時代の史書である「扶桑略記」の記述から,十和田火山最新噴火が915年に起こったことがほぼ確実となった. 5.秋田県鹿角地方に伝わる伝説として,「八郎太郎」伝説の他にも噴火を示唆する内容を持つ「火の鳥」伝説を再発見した.その伝説を火山学的に解釈した結果,地質学的な証拠から得られた噴火の季節および推移と矛盾しないことがわかった. 6.次年度において泥流災害の特性と規模を定量的に評価するための基礎資料となる粒度分析に用いる堆積物試料(毛馬内火砕流堆積物と泥流堆積物)の採集を行った.
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