研究概要 |
ポピュレーション・アライメント衝突輻射(PACR)モデルに必要な電子衝突励起・脱励起断面積データを,Drs. Honglin, Kilcrease, Csanak(ロスアラモス国立研究所:米国)の相対論的歪波(RDW)計算コードを用いて,ベリリウム様酸素(OV),ヘリウム様炭素(CV)のそれぞれ20準位・17準位(αJ)間の主要な遷移について,磁気副準位Mごとの断面積Q_<αJM.,α J M>を計算した。得られた断面積Q_<αJM.,α J M>をポピュレーション・アライメント間の断面積Q_q^<kk>に変換し,OVには,これまでのPACRモデルに断面積データを追加した。また,CVについては新たに衝突断面積を取り込みPACRモデルを作成した。TRIAM-1Mトカマク・WT-3トカマク等で観測したOVの3重線2s3s^3S_1-2s3p^3P_<0,1,2>(278.985, 278.699, 278.101nm),CVの3重線1s2s^3S_1-1s2p^3P_<0,1,2>(227.797, 227.727, 227.089nm)の発光線強度比,縦アライメントA_Lと比較した。実験から得られた縦アライメントは,モデル計算より得た値よりも数倍大きかった。RDWコードによる断面積は共鳴状態の効果を含んでいないため,断面積データにより詳細な共鳴構造が得られるR行列を用いた計算コードを用いて衝突断面積データを得ることを考えた。Berrington教授(シェフィールドハラム大学:英国)を招聘し,基底状態と準安定状態から,観測した上準位^3P_<0,1,2>へのアライメント生成に主な寄与をする遷移を選んで計算をした。その結果、例えば,OVの基底状態2s^2 1^S_0から準位2s3p ^3P_2アライメント生成断面積データQ_0^<20>については,R行列法から得られたQ_0^<20>はしきい値付近ではRDWコードと比べ4^-5倍程度の値をとり実験における計測値を説明し得ることが分かった。
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