本研究では、負バイアスしたメッシュ電極裏側から電子ビームを注入することにより、電極近傍の電位構造を変化させ、電極前面の浮遊微粒子の空間分布を制御することを目的とした。更に、メッシュ電極に、高周波電圧を印加して、実際のプロセスプラズマ中での浮遊微粒子の挙動も検討した。本年度は、(1)高周波バイアスした電極近傍における浮遊微粒子の空間挙動計測、(2)高周波振動電位分布の計測、(3)スパッタ法による微粒子導入の検討及び空間分布の計測について検討を行った。 (1)高周波バイアス電極近傍における浮遊微粒子の空間分布計測 導入微粒子として、Al、SiO_2、SiCの微粒子を使用し、振動法により、プラズマ中に導入し浮遊させた。これらの微粒子は、電極近傍では、電極シース構造に起因する円環状の空間分布を示すことが分かった。 (2)高周波振動電位分布の計測 エミッシブプローブを用いたinflection point法により、高周波電極近傍の電位分布の計測を行った。電極近傍には、イオンシースを形成する電位構造になることが分かった。更に、印加する電圧を増加させると、シース電位も負に深くなる構造になることが分かった。 (3)スパッタ法による微粒子導入の検討と空間分布の計測 スパッタ電極には、グラファイト円板を用いた。スパッタ微粒子を発生させるために、電極に高周波電力300Wを10分間注入し、その後、凝集成長させるために、10W程度に低下させて実験を行った。スパッタ微粒子の観測には、半導体レーザーによる光散乱法を用いた。浮遊微粒子の空間構造は、凝集成長による粒径の増加に伴い、電極近傍で、様々な空間挙動の時間推移を示した。具体的には、10Wに低下させた時間から、微粒子ははじめ電極端部に浮遊し、その後、凝集による粒径の増加により、中央部に移動し、最後には、重力と微粒子に作用する他の力との不均衡により、落下することが分かった。
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