研究概要 |
本研究では,メタンプラズマ中に発生していると思われる炭化水素クラスタを検出し,その発生・成長機構を明らかにすること,シランプラズマを対象に開発してきたクラスタ検出法のメタンプラズマへの適用可能性を明らかにすることを目的としている.今年度は,イメージインテンシファイア付き冷却CCDカメラと本科学研究費補助金で導入したNd-YAGレーザを組み合わせた高感度なレーザ散乱光計測システムを構築した.また,このシステムはプラズマを発生させるための高周波放電と同期しているため,散乱光強度の時間推移を高時間分解で測定できる,このシステムを用いて,炭化水素クラスタの存在,発生・成長過程について調べ,以下の知見を得た. 1.ガスがメタン(100%),圧力が266Pa,放電電力が40〜100Wの実験条件において,プラズマ発生後約20秒以降からクラスタが検出され始め,その散乱光強度は放電電力が大きい程,時間が長い程強くなることが初めて明らかにできた. 2.放電電力が100Wの条件において,散乱光強度の変化は,プラズマ発生後約20秒までは散乱光強度は検出されず,その後約20秒間で光強度は増加し,さらにその後は飽和傾向を示すことが分かった. 3.まだ,クラスタのサイズと密度を区別できていないが,数10秒かけて散乱光強度が変化していることから,長時間プラズマ中に捕捉され得る負帯電クラスタのサイズ変化が散乱光強度変化の原因と考えられる. 次年度は,レーザ散乱法を用いて幅広い実験条件で炭化水素クラスタの成長過程を調べるとともに,各種クラスタ検出法を適用し,より小さなクラスタの発生・成長過程について明らかにする.
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