本研究はプラズマから放射される様々な種類の光(可視光)の透過波長スペクトルを一度に測定できる新型放射線輝度測定装置(イメージ分光器)を用いて、周辺プラズマから放射される各種光の二次元分布測定システムを開発・実用化することを目的としている。 研究の初年度(平成13年度)においては、干渉フィルターなどを用いて本測定システムの各種較正実験を実施して、本システムが大型ヘリカル装置(LHD)のプラズマ計測に十分に適用可能であることを実証した。また、従来の光ファイバーアレイを用いた2次元プラズマ分光計測手法と比較して、単純かつ簡潔な機器構成で測定できることを確認した。 平成14年度では、遠隔操作が可能で広いダイナミックレンジ・高階調・高空間分解能の性能を有する高性能デジタルCCDカメラを適用した。その結果、プラズマ周辺部の不純物の輸送とその分布などを更に詳細に測定できるようになった。また、カメラで撮影された二次元画像データを自動的に収集・解析するソフトウェアを構築するとともに、カメラ本体の測定角度と位置を調節することによってLHDプラズマのダイバーターレッグ部および、ダイバータータイル部が直接的に測定できるようになった。その結果、カーボンタイルから周辺プラズマへ放出される各種不純物に起因した放射輝度スペクトルとその分布の時間的変化を一度に高空間分解能で観測することに成功した。今後、本システムを標準的なプラズマ計測装置としてルーチン的に用いることによって、様々な実験条件におけるダイバータープラズマの不純物輸送の研究を強力に押し進めることができると期待している。 以上のことから、今回の科学研究費補助金によって従来にはなかった単純かつ簡潔で高性能のプラズマ分光計測システムを開発・実用化に成功することができた。
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