研究概要 |
離島などの電力系統から独立した地域に太陽光/風力/ディーゼル発電システムを導入した場合,気象状況の変化に伴う太陽光/風力発電電力の変化がシステムの経済的・安定的運用に大きな影響を与える。そうした問題を解決するためには,気象予測を利用したシステムの運用法,ならびに日射量および風速などの気象予測モデルの開発が重要である。 そのようなことから,本年度は,風向データを用いて数時間後までの平均風速を予測するモデルを開発した。また,気象予測を利用したシステムの運用法の有効性を評価するための準備段階として,蓄電池の充電状態と目標とする充電状態の差分を考慮してディーゼル発電機出力を制御する運用法(目標充電状態運用法)を提案し,その有効性を評価した。 風速予測モデルの開発では,まず,風向別に予測モデルを構築することの有効性を重回帰分析を用いた風速予測モデルにより検討した。この予測法では,予測を行う時点の風向に合わせて予測に使用するモデルを選択する。その結果,風向を考慮することで各風向に合わせたモデルが構築できるため,予測誤差率を3ポイント程度低減できた。次に,短期的な気象変動を入力データに織り込むために,データの入力間隔を1〜12時間の間で変化させ,適切なデータ入力間隔を重回帰予測を用いた風速予測モデルにより検討した。その結果,データの入力間隔を1時間とし,4時間前までのデータを入力することで,予測誤差率を4ポイント程度低減できた。以上のような条件でニューラルネットワークを用いた風速予測モデルを構築した。その結果,これまでに開発してきた風速予測モデルと比較して,予測誤差率は,3時間後までの平均風速予測では3ポイント,12時間後までの平均風速予測では7ポイント,それぞれ減少した。 一方,目標充電状態運用法の有効性を年間シミュレーションにより評価したところ,蓄電池の目標充電状態を適切に設定することで,太陽光/風力発電電力の余剰電力を抑制し,ディーゼル発電機の燃料消費量を抑制できることが確認できた。
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