研究概要 |
本年度は環境試料の内分泌撹乱性を評価するため、実験室での標準化学物質による内分泌撹乱性の評価方法について検討した。 アメリカ環境局(EPA) EDSTAC委員会での最終報告書の中には内分泌撹乱性の評価方法についてはin vivoとin vitroのいくつの方法が紹介されている。その一つとしてエストロゲンバンディングアッセイ法であった。この方法はTlSとして化学物質のエストロゲン性の検出に迅速な方法であった。本年度では、蛍光偏向法を用いて環境省が提起した優先的に取り組むべき8種類の化学物質(Nonylphenol,4-Octylphenol, Di-2-ethylhexyl phthalate, Dicyclohexyl phthalate, Di-n-butyl, phthalate, Tributyltin chloride, Benzophenone, Octachlorostylene)のエストロゲン性を評価した。得られた濃度-影響曲線より算出したIC50値より、エストロゲン性の強さはNonylphenol(4μM)>4-Octylphenol(16.9μM)>Octachlorostylene(ND)となった。他の5種類の物質についてはいずれも阻害値20%以下でありエストロゲン性の検出は出来なかった。組み換え型酵母を用いたエストロゲン性評価法と比較するごと、本蛍光偏向法の方は感度が高く、操作も簡単であった環境中では化学物質が常に混在し、環庫試料を正確に評価するために、化学物質の相互作用により、エストロゲン性にどのように影響を受けるかを検討した。エストロゲン性を示した物質の低濃度での混合では相加的な作用を示した。エストロゲン性を示した物質と示さなかった物質との混合では高濃度範囲では拮抗的な作用が確認された。
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