p53欠失C3H/Heマウスに誘発した未分化型白血病(stem cell leukemia : SCL)12例について染色体異常を解析し、以下の知見を得た。 1.SCLの細胞は複雑な染色体異常を含んでいる上に、同一個体内で核型がばらついており、通常の分染法による核型分析は不可能であった。 2.上記の核型のばらつきは、染色体の数的異常と構造的異常の両方に起因し、SCLの細胞では染色体の重複や染色体切断が頻繁に起きていることが示唆された。 3.ヘテロ欠失(p53^<+/->)マウスに生じたSCLでは、11番染色体の異常が高頻度に観察された。 4.野生型のC3H/Heマウスは放射線照射によって急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia : AML)を発症し、AMLは2番染色体に特異的な欠失を示すが、p53欠失マウスのSCLでは同型の異常はほとんど観察されなかった。
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